
無料CRMを中小企業向けに比較|4製品の上限と有料化の目安
顧客の情報がExcelや個人の手帳に散らばり、担当者が休むと誰も状況がわからない。そんなお困りごとを、まず費用をかけずに解決したいと考える中小企業は多いものです。
結論として、無料で使えるCRMは「無料で使える人数」と「データの持ち出しやすさ」の2点で選びます。本記事では、無料プランがある代表的なCRM4製品を比較します。
対象はHubSpot、Zoho CRM、Salesforce Free Suite、Bitrix24です。4製品とも、無料で使えるのは2〜3名までが目安です(各社公式・2026年10月確認)。
営業3名ならZoho CRM、2名以下なら目的に合わせて4製品から選べます。4名以上で全員が入力するなら、有料プランを前提に比べるのが現実的です。
あわせて、無料のまま運用して失敗する3つのパターンと、有料へ切り替える4つの目安も取り上げます。費用ゼロの道具を、組織の財産に育てる進め方の参考になれば幸いです。
INDEX≡目次
- 1結論|無料CRMは「無料で使える人数」と「データの持ち出しやすさ」で選ぶ
- ►無料CRMとは:顧客と商談の記録を費用ゼロで組織に共有する仕組み
- ►営業の人数別早見表:2名以下・3名・4名以上
- 2中小企業向け無料CRM4製品の比較表
- ►比較表:無料で使える人数・主な制限・有料版への移り方
- ►有料プランを含めて比べたい場合
- 34製品の無料プランでできること・向く会社
- ►HubSpot:Webからの問い合わせを顧客台帳につなげたい会社
- ►Zoho CRM:3名までの営業チームで機能をそろえたい会社
- ►Salesforce Free Suite:2名から始めて将来は有料版へ広げたい会社
- ►Bitrix24:チャットやタスク管理と顧客情報を一か所にまとめたい会社
- 4無料CRMとExcel・スプレッドシート管理の違い
- ►Excelで足りる会社:営業1〜2名で顧客数が少ない
- ►CRMに移るべき会社:担当替えや同時編集で記録が崩れ始めた
- 5「無料のまま」で失敗する3つのパターン
- ►パターン1:一部の人だけが入力する「個人の台帳」になる
- ►パターン2:無料枠の上限に達して記録が止まる
- ►パターン3:データを書き出せず、乗り換えられなくなる
- 6無料から有料に切り替える4つの目安
- ►目安1:入力する人数が無料枠を超えた
- ►目安2:営業会議で集計の手作業が残っている
- ►目安3:担当替えで顧客の引き継ぎが発生した
- ►目安4:権限や操作履歴の管理が必要になった
- 7無料CRMを組織の仕組みにする最初の30日
- ►1週目:入力する項目を10個以内に決める
- ►2週目:既存の顧客リストを整えて取り込む
- ►3週目:営業会議をCRMの画面だけで行う
- ►4週目:入力の状況を振り返り、有料化の要否を判断する
- 8まとめ:無料CRMは「人数」と「出口」を決めてから始める
- 9よくある質問
- ►Q1. 無料CRMはずっと無料で使えますか?
- ►Q2. 無料CRMと無料トライアルの違いは何ですか?
- ►Q3. HubSpotの無料CRMは何人まで使えますか?
- ►Q4. 無料CRMから別の製品に乗り換えられますか?
- ►Q5. 営業が5名いる場合、無料CRMは使えませんか?
結論|無料CRMは「無料で使える人数」と「データの持ち出しやすさ」で選ぶ
候補を決めるのは、営業の人数が無料枠に収まるかどうかです。次に、将来乗り換えるときにデータを書き出せるかを確認します。機能の多さで選ぶと、無料枠の制限で運用が止まりがちです。
自社の人数から候補を絞れるよう、早見表にまとめました。
(HubSpot・Salesforce Free Suiteは最大2ユーザー、Bitrix24は1~2ユーザー向け)
(3ユーザーまで無料)
無料版は入力の型づくりに使う
人数は各社公式サイト(2026年10月確認)
無料CRMとは:顧客と商談の記録を費用ゼロで組織に共有する仕組み
CRMとは、顧客の情報とやり取りの履歴を一か所にまとめ、組織で共有する仕組みのことです。例えば「A社の部長に先週見積もりを出し、来週返事をもらう約束をした」という記録を、誰でも同じ画面で確認できます。
無料CRMは、こうした機能の一部を費用ゼロで使えるプランを指します。多くの製品は、使える人数や保存できる件数、使える機能に上限を設けています。その代わり、期間の制限なく使い続けられるのが一般的です。
似た言葉に「無料トライアル」があります。こちらは有料プランを一定期間だけ試す仕組みで、期間は製品ごとに異なります。ずっと無料で使えるのは「無料プラン」、試すだけなのが「無料トライアル」と区別しておくと、比較で迷いません。
営業の人数別早見表:2名以下・3名・4名以上
無料CRMの候補を左右するのは、CRMに入力する人の数です。無料枠を超える人数で使うと、一部の人しか入力できなくなるためです。
営業2名以下の会社なら、4製品すべてが候補です。将来の拡張を考えるならSalesforce Free Suiteが合います。Webからの問い合わせが多いなら、HubSpotが候補です(2名まで無料・HubSpot公式)。
営業3名の会社は、Zoho CRMの無料枠にちょうど収まります。営業4名以上で全員に入力してほしい場合は、最初から有料プランを前提に費用を見積もります。
その場合も無料版は無駄になりません。2〜3名で入力の型を固める「準備期間」として使えます。
中小企業向け無料CRM4製品の比較表
無料で使える人数は、HubSpotとSalesforce Free Suiteが2名、Zoho CRMが3名までです。Bitrix24は無料プランを「1~2ユーザー向け」としています(各社公式・2026年10月確認)。
ここでは、無料の上限と有料版の入口を1つの表で並べます。
無料で使える人数を、横棒で比べました。
出典:各社公式サイト(2026年10月確認)
比較表:無料で使える人数・主な制限・有料版への移り方
4製品の無料プランの条件を1つの表にまとめました。有料版の金額は各社公式サイトに表示された月額です(Zohoは税抜)。
シート課金とは、システムを使う人の数(席数)に応じて料金が決まる仕組みのことです。コンタクトとは、顧客の担当者1人ひとりの連絡先データのことです。
| 製品 | 無料で使える人数 | 無料版の主な制限 | 有料版への移り方 | 出典(2026年10月確認) |
|---|---|---|---|---|
| HubSpot | 最大2ユーザー | コンタクト1,000件まで | Starter 1シート月額1,800円から(新規契約向けの提供価格・シート課金) | HubSpot 無料CRM |
| Zoho CRM | 3ユーザーまで | 自動化や分析などは有料版が中心 | スタンダード1ユーザー1,760円から(年間契約の月額換算) | Zoho CRM 料金 |
| Salesforce Free Suite | 最大2ユーザー | 詳しい管理機能はプランごとに異なる | Starter Suite 1ユーザー3,000円から | Salesforce 無料CRM |
| Bitrix24 | 1~2ユーザー向けと案内 | ストレージ(保存容量)5GB | 会社単位の定額プランへ移行 | Bitrix24 料金 |
表で見るべきは、機能の数ではなく「無料で使える人数」の列です。人数の上限を超えた時点で、無料CRMは「一部の人のための道具」に変わります。自社の営業の人数と、1年後の人数の見込みを当てはめて読んでください。
有料プランを含めて比べたい場合
無料枠に収まらない会社は、最初から有料プランを含めて比べたほうが近道です。例えば営業5名でZoho CRMのスタンダードを年間契約するとします。1,760円×5名×12か月で、年間105,600円(税抜)です(Zoho CRM公式・2026年10月確認)。
1年間の費用は、次の式で見積もれます。
料金はZoho CRM公式サイト(2026年10月確認)
有料プランを含めた5製品の料金比較は、「CRMのおすすめ比較|中小企業向け5製品の料金と定着の決め手」で解説しています。kintoneやeセールスマネージャーなど、国産製品の条件もそちらで確認できます。
4製品の無料プランでできること・向く会社
4製品は、無料で使える人数と得意な使い方がそれぞれ異なります。人数が同じなら、自社が一番困っている場面に強い製品を選びます。製品ごとに、無料のままでできることと注意点を整理しました。
無料で使える人数
最大2ユーザー向いている会社
Web問い合わせと台帳をつなぐ
無料で使える人数
3ユーザーまで向いている会社
少人数で機能をそろえる
無料で使える人数
最大2ユーザー向いている会社
将来は有料版へ広げる
無料で使える人数
1~2ユーザー向け向いている会社
チャット・タスクと顧客情報を一か所に
HubSpot:Webからの問い合わせを顧客台帳につなげたい会社
HubSpotは、無料のCRMから始められる海外製の製品です。公式サイトによると、無料版は最大2人のユーザーと1,000件のコンタクトまで登録できます。利用期限はありません(2026年10月確認)。
向いているのは、自社サイトからの問い合わせが営業の入口になっている会社です。問い合わせフォームの情報を顧客台帳に取り込めるため、「誰が対応したか」の記録漏れを防げます。
注意点は、2ユーザーと1,000件という上限です。取引先の担当者が多い会社では、1,000件に早めに達します。有料版のStarterは1シート月額1,800円からです(新規契約向けの提供価格)。使う人の数に応じて費用が増えていきます。
Zoho CRM:3名までの営業チームで機能をそろえたい会社
Zoho CRMは、3ユーザーまで無料で使えるプランがある製品です(Zoho CRM公式・2026年10月確認)。顧客・商談・活動の記録といった基本機能を、無料の範囲で一通り試せます。
向いているのは、営業が2〜3名で、まず費用を抑えて記録の型を固めたい会社です。有料のスタンダードプランも、年間契約なら1ユーザー月額1,760円(税抜)と低めの価格帯です。人数が増えたときにも、移行の負担を抑えられます。
注意点は、4人目が加わった時点で無料枠を超えることです。「4人目の採用が決まったら有料化を判断する」と先に決めておくと、移行で慌てずに済みます。
Salesforce Free Suite:2名から始めて将来は有料版へ広げたい会社
Salesforce Free Suiteは、世界的に使われるSalesforceの無料版です。公式サイトでは、最大2ユーザーまで無料で使えると案内されています(2026年10月確認)。顧客や連絡先の管理に加え、メールの下書きをAIが手伝う機能も無料の範囲に含まれます。
向いているのは、今は社長と営業1名の2人体制でも、将来は営業組織を広げる計画がある会社です。上位のStarter Suiteは1ユーザー月額3,000円で、使い慣れた画面のまま有料版へ移れます。
注意点は、権限や操作履歴の管理など、詳しい管理機能がプランごとに異なることです。退職者のアカウント管理を厳しくしたい会社は、公式の機能比較表で必要な機能がどのプランに含まれるかを確認します。
Bitrix24:チャットやタスク管理と顧客情報を一か所にまとめたい会社
Bitrix24は、CRMに社内チャットやタスク管理が一体になった製品です。料金ページでは、無料プランを「1~2ユーザー向け」と案内しています(2026年10月確認)。
なお同じページのよくある質問には人数無制限との記載も残っており、表示が分かれています。
向いているのは、社内の連絡と顧客情報を一か所にまとめたい少人数の会社です。例えば、顧客とのやり取りの記録と、それに続く社内の作業依頼を同じ画面で管理できます。
注意点は、無料プランのストレージ(保存容量)が5GBに限られることです。見積書や写真などを多く保存すると、早めに上限に近づきます。使う人数で無料のまま使えるかは、登録前に公式で確かめてください。
無料CRMとExcel・スプレッドシート管理の違い
無料CRMとExcelの違いは、記録が人ではなく顧客にひもづいて残るかどうかです。担当者が変わっても履歴が途切れないこと。それがCRMの一番の価値です。「無料ならExcelで十分では」という声に、判断の線を引いておきます。
船井総研の解説動画「CRMとは?中小企業がなぜ導入するメリットは?そして中小企業にあったCRMはどれなのか?」は、中小企業に合うCRM選びが主題です。エクレアラボも導入の有無による違いを動画で対比しています。
Excelで足りる会社:営業1〜2名で顧客数が少ない
営業が1〜2名で、取引先が数十社程度なら、Excelやスプレッドシートでも管理は十分に回せます。全員が同じファイルを見て、更新のルールを守れる規模だからです。
ただし、Excelで管理するなら「顧客ごとに1行」「対応の履歴は別シートに日付順」といった型を決めておきます。型があれば、後からCRMに移すときにもそのまま取り込みやすくなります。Excelでの管理の型は「エクセルで始める営業管理の教科書」で紹介しています。
CRMに移るべき会社:担当替えや同時編集で記録が崩れ始めた
次の3つが起き始めたら、Excelの限界が近いサインです。
- 同じ顧客の行が2つできて、どちらが最新かわからない
- 誰かの上書きで、前の対応記録が消えてしまう
- 担当者が休むと、その顧客との約束が誰にもわからない
筆者たちセールスカレッジ編集部(運営:コントリ株式会社)は、中小企業の営業組織を取材してきました。
その中でも、Excelの崩れは担当替えのときに表面化しがちです。前任者のファイルを開いても、最後の約束が何だったのかが書かれていません。CRMへの移行は、担当者が辞める前に済ませておくほうが、顧客を守れます。
CRMと似た仕組みにSFAがあります。SFAとは、商談の進み具合を管理して営業活動を支える仕組みのことです。違いは「CRMとSFAの違い|中小企業が導入順で迷わない3つの基準」で解説しています。
「無料のまま」で失敗する3つのパターン
無料CRMで多い失敗は、製品選びではなく使い方の設計にあります。費用がかからない分、社内での位置づけがあいまいになりやすいのです。導入前に3つのパターンを知っておけば、同じつまずきを避けられます。
YouTubeでも「CRMは小規模企業には難しい」という問題提起が取り上げられています。難しさの正体は、道具の性能より運用のルールが決まっていないことにあります。
パターン1:一部の人だけが入力する「個人の台帳」になる
1つ目は、CRMに入力するのが一部の人だけになるパターンです。無料枠の人数に合わせて「入力は営業リーダーだけ」と決めると、ほかのメンバーの顧客情報は残りません。
結果として、CRMはリーダー個人の台帳になり、組織の記録とは言えなくなります。避けるには、顧客と接する人を全員入力者にできる製品と人数で始めることです。無料枠に入らないなら、人数を絞るより有料化を選ぶほうが、組織としての効果は大きいと言えます。
パターン2:無料枠の上限に達して記録が止まる
2つ目は、登録できる件数や容量の上限に達し、記録が止まるパターンです。例えばHubSpotの無料版は、コンタクトが1,000件までです。上限の通知が来ても、誰の判断で有料化するかが決まっていないと、そのまま放置されがちです。
放置の間に、現場はExcelやメモに記録を戻してしまいます。一度散らばった記録をCRMに戻すのは、最初に入れるより手間がかかります。上限の何割に達したら誰が判断するかを、導入時に決めておくのが確実な防ぎ方です。
パターン3:データを書き出せず、乗り換えられなくなる
3つ目は、別の製品に移りたくなったときに、データをうまく書き出せないパターンです。CSVとは、Excelでも開ける、項目をカンマで区切った形式のファイルのことです。多くのCRMはCSVでの書き出しに対応していますが、書き出せる範囲は製品やプランで異なります。
顧客の一覧は書き出せても、商談の履歴や活動の記録が移せなければ、蓄積した知見の多くを失います。導入して最初の週に、顧客・商談・活動履歴をそれぞれ1件ずつ書き出して確かめておきます。
書き出しの確認は、次の順番で進めると漏れがありません。
無料から有料に切り替える4つの目安
無料CRMは、ずっと無料で使い続けるものではありません。組織が育つと、無料枠は成長を止める天井に。切り替えの判断を担当者の感覚に任せず、事前に決めた4つの目安で判断します。
目安1:入力する人数が無料枠を超えた
もっともわかりやすい目安は、入力する人数が無料枠を超えたときです。4製品の無料枠は2〜3名が目安(各社公式・2026年10月確認)のため、営業の増員はそのまま切り替えの合図です。事務スタッフにも入力してもらう必要が出たときも該当します。
このときに「無料の範囲で人数をやりくりする」選択は避けます。パターン1で見たとおり、入力できない人の顧客情報が組織に残らなくなるからです。採用が決まった時点で、有料プランの見積もりを取り始めます。
目安2:営業会議で集計の手作業が残っている
2つ目は、営業会議の資料づくりに手作業が残っているときです。CRMから書き出したデータを、毎週Excelで並べ替えて集計しているなら、無料版の分析機能では足りていません。
有料版の多くは、商談の進み具合や受注見込みを自動で集計する画面が標準です。集計の手間を、顧客への次の提案を考える時間に変えられるかで判断します。会議の進め方は「営業パイプライン管理の方法|案件を停滞させない仕組みの作り方」が参考になります。
目安3:担当替えで顧客の引き継ぎが発生した
3つ目は、退職や異動で顧客の引き継ぎが起きたときです。引き継ぎの場面では、権限の付け替えや、過去の履歴を新担当にまとめて渡す作業が発生します。
無料版でも記録は残りますが、権限の細かい設定は有料版のほうが充実しています。顧客から見れば、担当が変わっても話が通じることが安心につながります。引き継ぎで顧客に同じ説明を二度させない状態を保てるかが、判断の基準です。
目安4:権限や操作履歴の管理が必要になった
4つ目は、誰がいつどの情報を見たかを管理する必要が出たときです。こうした操作の記録は「監査ログ」と呼ばれます。監査ログとは、システムの操作履歴を記録したもののことです。
例えば、退職予定者が顧客リストを大量に書き出していないかを、後から確認できます。
もう1つの代表例がシングルサインオン(SSO)です。シングルサインオンとは、1つのIDとパスワードで複数のシステムに入れる仕組みのことです。取引先から情報管理の体制を問われる場面が増えたら、こうした機能を持つ有料プランを比べる時期です。
無料CRMを組織の仕組みにする最初の30日
無料CRMは、始めた最初の30日で定着するかが決まります。入力ルールと使う場面を先に決めれば、費用ゼロでも組織の財産に育ちます。週ごとの進め方を紹介します。
無料で始める選択肢は増えています。例えば動画「【Slack CRM】中小企業の顧客管理が劇的に変わる!無料で始める営業効率化術」では、チャットの中で顧客管理を始める方法が紹介されています。どの道具を選んでも、定着の手順は共通です。
30日の進め方を、週ごとのタイムラインにまとめました。
1週目:入力する項目を10個以内に決める
最初の週は、CRMに入れる項目を10個以内に絞ります。項目が多いと入力の手間が増え、現場が記録をやめてしまうからです。基本の項目は次のとおりです。
- 会社名・担当者名・連絡先
- 最後に接触した日
- 次の約束(日付と内容)
- 商談の段階
「次の約束」のように、顧客の反応と次の行動がわかる項目を最初から入れておくのがコツです。この週のうちに、データの書き出しも1回試しておきます。
2週目:既存の顧客リストを整えて取り込む
2週目は、Excelなどにある既存の顧客リストを整えてから取り込みます。「株式会社」と「(株)」のような表記の揺れをそろえないと、同じ会社が2件登録されてしまいます。
取り込みの作業は、担当者1人に任せず2名で確認しながら進めます。作業手順を文書に残しておくと、次に誰が担当しても同じ品質で取り込めます。
3週目:営業会議をCRMの画面だけで行う
3週目は、週1回の営業会議をCRMの画面だけで行います。会議の資料を別に作らず、画面に映した商談の一覧を見ながら話し合うのがポイントです。
画面に記録がない案件は、会議で話題にできません。そのため、自然と会議の前に入力する習慣が生まれます。
編集部は、CRMの定着を左右するのは製品より「使う場面」だと考えています。例えば営業3名・事務1名の会社なら、営業3名がZoho CRMの無料枠で商談を入力します。事務担当は会議の画面を一緒に見て、受注後の手配を確認します。営業3名の商談が同じ画面に並び、誰の案件が止まっているかが会議の場でわかります。
日々の記録の型は「営業日報を売上アップのツールに変える」でも紹介しています。
4週目:入力の状況を振り返り、有料化の要否を判断する
4週目は、1か月の入力状況を振り返ります。全員が入力しているか、記録が止まっている顧客はないか、無料枠の上限に近づいていないかを確かめます。
あわせて、前の章で挙げた4つの目安に当てはまるかを点検します。1つでも当てはまれば、有料プランの見積もりを取る時期です。立て直し方は「SFA 導入 失敗|中小企業が陥る7つの罠と立て直し3ステップ」で解説しています。
まとめ:無料CRMは「人数」と「出口」を決めてから始める
無料で使えるCRMは、無料で使える人数とデータの持ち出しやすさで選びます。4製品とも無料枠は2〜3名が目安です(各社公式・2026年10月確認)。3名ならZoho CRMが候補です。
2名以下なら、Web集客はHubSpot、将来の拡張はSalesforce Free Suiteが合います。
そのうえで、有料に切り替える目安を導入前に決めておきます。
- 入力する人数が無料枠を超えたとき
- 営業会議の集計に手作業が残るとき
- 担当替えで顧客の引き継ぎが起きたとき
- 権限や操作履歴の管理が必要になったとき
無料で始めるからこそ、「どこまで無料で使うか」という出口を先に決めておくことが、組織に定着させる近道です。費用ゼロの道具を、組織の財産へ。
選び方の7つの判断軸は、中小企業のCRMの選び方の解説記事にまとめました。まずは明日、CRMに入力する人の名前と人数を書き出すところから始めてみてください。
よくある質問
Q1. 無料CRMはずっと無料で使えますか?
各製品の無料プランは、期間の定めなく使えるものが中心です。ただし、人数や保存容量、機能に上限があり、条件が改定されることもあります。登録前と半年ごとに、公式サイトで最新の条件を確認してください。
Q2. 無料CRMと無料トライアルの違いは何ですか?
無料CRMは、機能を絞った無料プランを継続して使えるものです。無料トライアルは、有料プランを一定期間だけ試せる仕組みです。期間が終わると、契約するか利用をやめるかを選びます。
Q3. HubSpotの無料CRMは何人まで使えますか?
無料版は最大2人のユーザーと1,000件のコンタクトまでです(HubSpot公式・2026年10月確認)。3人以上で使う場合や件数が増えた場合は、有料版のStarterなどを検討します。
Q4. 無料CRMから別の製品に乗り換えられますか?
多くのCRMは、CSV形式でのデータの書き出しに対応しています。ただし、書き出せる範囲は製品やプランで異なります。導入前に、顧客・商談・活動履歴をそれぞれ書き出せるかを試しておくと安心です。
Q5. 営業が5名いる場合、無料CRMは使えませんか?
5名全員が入力する前提なら、有料プランを前提に考えるのが現実的です。例えばZoho CRMのスタンダードを年間契約すると、5名で年間105,600円(税抜)が目安です。無料版は、2〜3名で入力の型を固める準備期間に使えます。

