
営業の属人化を解消する5つの方法|社長依存から脱却し組織で売れる仕組みを作る
「優秀な営業マンが辞めたら、売上が3割も落ちてしまった」「自分が商談に出ないと、大型案件が取れない」——こんな悩みを抱えていませんか。
営業が特定の人物に依存する「属人化」は、中小企業が抱える深刻な経営課題です。ただ、適切な方法を実践すれば、組織全体で安定的に成果を出せる体制に変えられます。
本記事では、営業の属人化がもたらすリスクと原因を明らかにしたうえで、今日から始められる5つの解消方法を解説します。段階的な組織化ステップと成功のポイントも紹介しますので、「社長がいなくても売れる仕組み」を構築したい経営者の方は、ぜひ参考にしてください。より体系的な組織づくりについては「社長依存から脱却する営業組織の作り方|自分がいなくても売れる仕組みを実現する方法」も併せてご覧ください。
コンテンツ
営業の属人化とは?中小企業が抱える深刻なリスク
営業の属人化とは、営業活動が特定の担当者のスキルに依存し、ノウハウが共有されていない状態です。「社長が商談に出ないと大型案件が取れない」と感じたことはありませんか。
中小企業の6割以上が営業課題を抱えており、属人化は深刻な経営リスクです。ここでは、属人化がもたらすリスクと、経営者が感じる不安の正体を明らかにします。
依存している状態
- 売上の大半が特定の人に集中
- 顧客情報が個人に偏在
- ノウハウの共有がない
- 退職・病気で売上急落リスク
営業力を持つ状態
- チーム全体で営業力を発揮
- 顧客情報を全員で共有
- ノウハウが組織に蓄積
- 誰が抜けても事業継続可能
社長や特定の営業担当に依存している状態
多くの中小企業では、社長自身や一部のトップセールスが売上の大半を支えています。「自分が動かないと案件が進まない」と感じていませんか。
キーパーソンが不在になると売上が急落します。顧客情報が個人に集中し、引き継ぎも困難になるのです。営業プロセスが標準化されないため、成果のばらつきも大きくなります。このような状態を改善するには、「営業プロセス管理で社長が安心して眠れる仕組み作り|今日から始める実践ガイド」で解説している手法が有効です。
属人化を放置すると会社が直面する3つの危機
属人化を放置すると、企業は深刻な危機に直面します。
第一に、主力営業の退職や病気で業績が急落する売上の不安定さ。第二に、顧客情報や商談ノウハウが失われるノウハウの喪失。第三に、標準化された教育プロセスがないため新人育成に時間がかかります。
専門家は、これらのリスクが企業の存続を脅かすと警告しています。
「このままでは自分が倒れたら会社が回らない」という不安
経営者の多くが「もし自分が倒れたら、この会社はどうなるのか」という不安を抱えています。実際、経営者の健康リスクは中小企業において最大の不安要素です。
営業の属人化は、会社の存続そのものを脅かす問題です。ただし、不安を感じているということは、組織化に向けた一歩を踏み出す準備ができています。属人化の解消を、今日から始めましょう。特に事業承継を見据えている経営者の方は、「社長が営業している会社の事業承継を成功させる方法|顧客を守りながら次世代へつなぐ実践ガイド」も参考になります。
営業が属人化してしまう4つの原因
営業の属人化は、多くの中小企業が抱える共通の課題です。決して特定の誰かが悪いわけではありません。日々の業務に追われる中で、自然と生まれてしまう状態なのです。
なぜ営業が属人化してしまうのか、その根本的な原因を4つの視点から整理します。「確かにそうだ」と頷ける理由を理解することで、解決への第一歩を踏み出しましょう。
社長自身が営業の最前線に立っている
創業時から社長が営業の中心を担ってきた会社は少なくありません。顧客との信頼関係を築き、事業を軌道に乗せてきた実績があるからこそ、その状態が続いてしまうのです。
社長が営業の最前線に立ち続けると、組織化を進める時間が取れません。「自分が動いた方が早い」という感覚が定着し、結果として営業ノウハウが社長の頭の中だけに蓄積されていきます。大型案件や重要な商談ほど社長が対応するため、社員が経験を積む機会も限られてしまうでしょう。
創業経営者としての責任感と行動力が、皮肉にも組織化の妨げになっているのです。「いつか任せよう」と思いながらも、目の前の成果を優先してしまう——その気持ちは、経営者なら誰しも理解できるはずです。営業を任せられるリーダーの選び方については、「営業リーダーに求められる5つの資質|中小企業が成果を上げる人材選定の実践ガイド」で詳しく解説しています。
情報を共有する仕組みが整っていない
「誰が何をやっているか見えない」「商談の記録が個人のメモ帳だけ」——こうした状況に心当たりはありませんか。情報共有の仕組みが整っていないと、営業活動は必然的に属人化します。
顧客情報が営業担当者のメールやノートに散在していると、チーム全体で状況を把握できません。商談の進捗や顧客の要望が共有されないまま、各自が独自に動いてしまうのです。成功した商談のポイントや失敗から得た教訓も、個人の経験として埋もれてしまいます。
忙しさの中で「後でまとめよう」と思いながら、結局後回しになってしまう。その気持ちは十分理解できます。ただ、この状態が続くことで、組織全体の営業力は向上せず、新人の育成にも時間がかかってしまうのです。情報共有の具体的な進め方は「営業ノウハウ共有で社長の時間を買い戻す方法|明日から始める実践ステップ」をご参照ください。
営業プロセスが標準化されていない
「やり方は各自に任せている」——この状態が、営業の属人化を加速させます。標準化されたプロセスがないと、各営業担当者が独自の方法で活動するため、成果にばらつきが生まれるのです。
トップセールスは自分なりの勝ちパターンを持っています。そのノウハウが言語化されず、標準的な手順として整理されていなければ、新人は育ちにくくなります。「見て学べ」という文化では、習得に時間がかかり、人によって理解度も異なるでしょう。
プロセスが標準化されていないと、成功が再現できません。誰かがうまくいった方法を、他のメンバーが実践しようとしても、具体的な手順が分からないため同じ結果を得られないのです。現場の感覚で動いているうちは、組織としての営業力は向上しません。営業プロセスの可視化と標準化については「営業の流れを理解して成果を出す実践方法|うまくいかない原因と改善策も解説」で体系的に解説しています。
ノウハウを共有するメリットを感じられない
「教えると自分の価値が下がるのでは」「共有する時間がない」——営業担当者がノウハウの共有を躊躇する気持ちは、理解できます。特に、個人の売上実績だけが評価される環境では、自分の強みを手放すことに不安を感じるのは自然なことです。
評価制度が個人成績に偏っていると、ノウハウを共有するインセンティブが働きません。「自分が頑張って築いた手法を教えても、何も得られない」と感じてしまうのです。日々の営業活動に追われる中で、資料をまとめたり後輩に教えたりする時間を確保するのは難しいでしょう。
実は、ノウハウを共有することで得られるメリットもあります。自分の手法を言語化する過程で、営業スキルがさらに洗練されたり、チーム全体の底上げによって大型案件に挑戦できたりするのです。共有が当たり前の文化を作ることが、組織全体の成長につながります。
今日から始められる属人化解消の5つの方法
営業の属人化を解消するには、完璧な仕組みを作る必要はありません。明日から実践できる5つの具体的な方法を紹介します。
小さな一歩から始めることで、組織全体で営業ノウハウを共有する文化が育ちます。大がかりなシステム導入や組織改革は不要です。日々の業務の中で少しずつ取り組めば、確実に属人化から脱却できるでしょう。
明日の営業会議で商談内容を5分間共有する
営業会議の最後に、短時間の共有時間を設けてみましょう。目安は5分程度で十分です。この小さな変化が、属人化解消の第一歩となります。
共有する内容は、商談で聞かれた質問、顧客の反応が良かったトーク、失敗した提案方法など。形式的な報告ではなく、「こんなことがあった」という気軽な情報交換が効果的でしょう。
週に1回でも継続すれば、チーム全体の営業スキルが底上げされます。新人も先輩の経験から学べるため、育成期間の短縮にもつながるのです。
自分の営業プロセスを書き出してみる
頭の中にある営業の流れを、紙に書き出してみましょう。初回接触から契約までの各ステップを可視化することで、暗黙知が明文化されます。
書き出す項目は、顧客との接点、提案内容の準備、商談の進め方、クロージングの方法など。完璧なマニュアルを作る必要はなく、箇条書きのメモで十分でしょう。
プロセスを書き出すことで、自分の強みや改善点も見えてきます。他のメンバーと見比べれば、組織としての標準的な営業フローも見えてくるのです。書き出した内容をマニュアル化する方法は「営業マニュアルの作り方|社長のノウハウを組織の財産に変える実践ガイド」で詳しく解説しています。
顧客情報を簡易フォーマットで記録し始める
難しいシステムは不要です。エクセルや紙でも良いので、顧客情報を記録する習慣をつけましょう。
最低限記録すべき項目は、会社名、担当者名、商談日、相談内容、次回アクション。この5つを記録するだけで、引き継ぎや情報共有が格段に楽になるでしょう。
記録を続けることで、顧客ごとの対応履歴が蓄積されます。担当者が変わっても、過去のやり取りを把握できるため、顧客満足度の維持にもつながるのです。
以下の表で、記録すべき項目を確認しましょう。
| 会社名 | 担当者名 | 商談日 | 相談内容 | 次回アクション |
|---|---|---|---|---|
| ABC商事 | 山田太郎 | 2025/1/15 | 新規システム導入の検討。予算は500万円程度を想定 | 見積書を1/20までに送付 |
| DEF工業 | 鈴木花子 | 2025/1/18 | 既存サービスの継続利用について。契約更新の意向確認 | 更新プランの提案資料を作成 |
週1回のノウハウ共有の時間を設ける
定期的に、成功事例や失敗談を共有する時間を設けましょう。目安は週1回、15〜30分程度で構いません。強制ではなく、気軽に話せる雰囲気づくりが大切です。
共有内容は、うまくいった提案方法、失敗から学んだこと、顧客からの質問と回答例など。形式にこだわらず、対話形式で進めると活発な意見交換ができるでしょう。
この時間を継続することで、チーム全体の営業力が向上します。個人のノウハウが組織の財産に変わり、属人化のリスクも軽減されるのです。
成功事例を3つ書き出して共有する
自分の成功体験をいくつか選んで(目安は3つ程度)、なぜうまくいったのかを書き出してみましょう。完璧なマニュアルではなく、メモ程度で構いません。
書き出す内容は、どんな顧客だったか、どんな提案をしたか、なぜ成約に至ったか。成功の要因を言語化することで、再現性のある営業手法が見えてくるでしょう。
書き出した事例をチームで共有すれば、他のメンバーも参考にできます。営業組織を守り、育てる第一歩として、ぜひ今日から実践してください。
社長依存の営業から脱却し
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100名以上のCEOインタビューを掲載してきたコントリが運営するセールスカレッジでは、営業の属人化を乗り越え、チームで成果を出す仕組みを作った経営者の取り組みや想いを、多くの読者にお届けしています。あなたの経験が、同じ課題を抱える経営者の一歩を後押しします。
段階的に組織化を進める実践ステップ
営業の属人化解消は、一朝一夕に実現するものではありません。1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月という時間軸で、段階的に組織化を進めていく実践的なステップをご紹介します。焦らず着実に進めることで、社長がいなくても売れる仕組みを確実に構築できます。
以下のステップを参考に、まずは1ヶ月目の取り組みから始めてみてください。
積み重ねる
実感を得る
- 解消方法から1~2個を実践
- 週1回15分の成功事例共有
- 情報共有の習慣づくり
型を作る
型を作成
- 簡易的な営業マニュアルの原型
- トップセールスの言語化
- 型のチーム共有
できる体制
出る組織へ
- マニュアルの実効性検証
- 新人フィードバックの反映
- 定期的な振り返りミーティング
【1ヶ月目】小さな成功体験を積み重ねる
最初の1ヶ月は、完璧を目指さず「できた」という実感を得ることが最も重要です。前述の5つの解消方法から、まずは1〜2個を選んで実践しましょう。
たとえば、週に一度15分だけ営業会議で成功事例を共有する時間を設ける、顧客情報をエクセルで記録し始めるなど、小さな一歩で構いません。大切なのは、チーム全体で「情報を共有する」習慣を作ることです。
形式にこだわらず、まずは継続することを優先してください。この段階での成功体験が、次のステップへの原動力となります。
【3ヶ月目】営業プロセスの型を作る
3ヶ月が経過したら、これまでに書き出した営業プロセスを整理し、簡易的な営業マニュアルの原型を作りましょう。完璧なマニュアルである必要はありません。
たとえば、「初回アプローチの3つのポイント」「ヒアリングで必ず聞く5つの質問」など、現場ですぐ使える型を作ることが目標です。トップセールスの動きを観察し、どんな言葉を使っているか、どんな順番で商談を進めているかを言語化していきます。
この型をチーム全体で共有し、誰が営業しても一定の成果が出る仕組みの土台を築いてください。
【6ヶ月目】新人が独り立ちできる体制を整える
半年後の目標は、新人が営業マニュアルを見ながら一通りの営業活動ができる状態です。完璧でなくても、基本が身につく仕組みができていれば十分です。
この段階では、マニュアルの実効性を検証し、不足している部分を補っていきます。新人からのフィードバックを積極的に取り入れ、「どこでつまずいたか」「何が分かりにくかったか」を記録しましょう。
定期的な振り返りミーティングを設け、営業プロセスの改善を継続します。この体制が整えば、社長が営業の最前線に立たなくても、安定的に成果が出る組織へと変わっていきます。
- 社長依存
- 個人のスキル頼み
- ノウハウのブラックボックス化
取り組み
- マニュアル化
- チーム全体で共有
- 新人の独り立ち
ITツールは焦らず段階的に導入する
営業組織化というと、すぐにSFAやCRMなどのITツール導入を考えがちです。ただ、目的が不明確なまま高機能なツールを導入しても、形骸化するリスクがあります。
最初は紙やエクセルなど、シンプルな方法から始めることもできます。重要なのは、情報共有の習慣を作り、営業プロセスの型を固めることです。
ITツールの導入は、「何のために使うのか」が明確になった段階で検討しましょう。必要な機能が見えてくれば、自社に最適なツールを選べます。段階的に進めることで、現場の負担を抑えながら定着率を高められます。
属人化解消を成功させる3つのポイント
営業の属人化を解消する方法は理解できても、実際に取り組むとなると様々な壁にぶつかります。実践する上で大切な心構えをまとめます。理想論ではなく、経営者が実際に直面する心理的ハードルとその乗り越え方を示していきます。
「情報共有で自分の価値が下がる」という不安を乗り越える
多くの経営者や営業担当者が「自分のノウハウを共有したら、組織内での価値が下がるのでは」と不安を感じています。この心理は決して間違いではなく、自然な感情です。
実際には、情報を共有することで組織全体の営業力が向上し、結果として経営者自身の役割も変化していきます。トップセールスから組織を導くマネージャーへと進化できるのです。不安を否定するのではなく、「共有することで得られる新しい価値」に目を向けることが重要といえます。
完璧を目指さず小さく始めて改善を重ねる
最初から完璧な仕組みを作ろうとすると、準備に時間がかかり挫折しやすくなります。まずは完璧でなくても良いので始めて、使いながら改善していく方が成功します。
例えば、簡易的なフォーマットで顧客情報を記録するだけでも十分です。週に一度、5分間だけ情報共有の時間を設けることから始めましょう。小さな成功体験を積み重ねることで、チーム全体の意識も徐々に変わっていきます。
経営者が率先して情報共有する姿勢を示す
組織文化を変えるには、社長自身が率先して情報を開示し、共有することが不可欠です。トップが動けば、メンバーも自然と動き出します。

「自分の商談内容を全て共有する」「失敗した案件についても隠さず話す」といった姿勢を示しましょう。経営者の行動が組織の規範となり、情報共有が当たり前の文化として定着していきます。営業組織を守り、育てる第一歩として、まずは社長自身が変わることから始めてください。
まとめ
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。営業の属人化は多くの中小企業が抱える課題ですが、適切な方法で取り組めば必ず解消できます。この記事では、属人化がもたらすリスクと原因を明らかにしたうえで、今日から実践できる具体的な解消方法をご紹介しました。改めて、本記事の重要なポイントを3つにまとめます。
- 営業の属人化は会社の存続を脅かす深刻なリスクだが、完璧を目指さず小さく始めることで段階的に解消できる
- 情報共有の仕組みづくりと営業プロセスの標準化により、組織全体で安定的に成果を出せる体制に変えられる
- 経営者自身が率先して情報を開示し共有する姿勢を示すことで、組織文化が変わり属人化解消が加速する
営業の属人化解消は、一朝一夕に実現するものではありません。ただし、明日の営業会議で5分間の共有時間を設ける、自分の営業プロセスを書き出してみるなど、小さな一歩から始めることができます。1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月と段階的に取り組むことで、「社長がいなくても売れる仕組み」は確実に構築できるでしょう。まずは今日から、できることを一つだけ始めてみてください。その小さな一歩が、あなたの会社の営業組織を守り、育てる大きな変化につながります。
「自分がいなくても売れる組織」を作り上げた
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