
営業の流れを理解して成果を出す実践方法|うまくいかない原因と改善策も解説
アポは取れても成約に至らない、商談は進むのに最後の一歩で失注してしまう。営業担当者なら誰もが経験する壁です。
実は、営業活動がうまくいかない原因の多くは「営業の流れ」を正しく理解していないことにあります。各ステップで何をすべきか、どんな失敗が起こりやすいかを把握できていないため、同じ壁に何度もぶつかってしまうんです。営業を体系的に改善したい方は、「営業が上手くなるには?中小企業経営者のための組織営業力強化と成約率向上の実践術」も参考にしてください。
本記事では、営業の流れを5つのステップに分けて解説し、各段階でよくある失敗とその対処法を具体的に紹介します。ツールありきではなく、明日から個人で実践できる方法にフォーカスしているので、すぐに営業活動の改善に役立つはず。営業を「センス」ではなく「学習と改善で上達できるスキル」として捉え直せます。
成果が出ない営業活動を変える5つの流れ
営業がうまくいかないのは、流れを意識していないからかもしれません。リード獲得からクロージングまでの5ステップを理解すれば、今どこで躓いているかが見えてきます。各段階で押さえるべきポイントを具体的に紹介し、明日から使える改善のヒントをお伝えします。
見込み客を見つけて関心を引く第一歩
見込み客との最初の接点をどう作るか。ここが営業活動のスタートラインです。
お客さんを見つける方法は、実はたくさんあります。SNSで自社の取り組みを発信する、展示会に出展して名刺交換する、既存顧客から紹介してもらう。どれも身近な方法ですが、大切なのは「この人に話を聞いてみたい」と思ってもらえるかどうか。新規開拓の具体的な手法については「新規開拓営業のコツとは?|成果を出すための手法と戦略を徹底解説」で詳しく解説しています。
押し売り感を出さずに関心を引くには、相手の課題に寄り添う姿勢が欠かせません。たとえばSNSなら、自社の売り込みではなく業界の課題解決につながる情報を発信します。展示会では「何かお困りですか」と声をかけるのではなく、「最近こんな相談が増えているんです」と会話のきっかけを作ってみてください。自然なアプローチが、次のステップへの扉を開きます。
営業活動の入り口では、数を追うだけでなく質を意識すること。自社のサービスと親和性の高い企業にアプローチすれば、その後の商談もスムーズに進みます。
断られにくいアプローチの工夫
最初の声かけで断られると、心が折れそうになります。でも、ちょっとした工夫で相手の反応は変わるものです。
声をかけるタイミングと言葉選びが、アプローチの成否を分けます。「今お時間よろしいですか」という一言があるだけで、相手は配慮を感じてくれます。電話なら朝イチや昼休み直後は避け、メールなら件名で「あなたのための情報」だと伝わるよう工夫しましょう。相手の状況に合わせた配慮が、断られる確率を下げてくれます。
自社の商品説明から入るのではなく、相手のメリットを先に伝える順序も大切です。「弊社のサービスをご紹介したくて」ではなく、「御社のような企業で○○の課題を解決した事例がありまして」と切り出してみてください。相手の関心事から会話を始めれば、「少し聞いてみようか」という気持ちになってもらえます。
断られにくいアプローチとは、相手に寄り添い、相手のペースを尊重すること。そんな姿勢が、次のステップへの信頼関係を築いていきます。
本音を引き出すヒアリングの実践法
質問しても表面的な答えしか返ってこない。営業担当者なら誰もが抱える悩みです。
相手が本当に困っていることや期待していることを聞き出すには、質問の仕方を工夫する必要があります。「何かお困りですか」という漠然とした質問ではなく、「現在○○についてどのように対応されていますか」と具体的に聞いてみましょう。相手も答えやすくなり、会話が深まっていきます。ヒアリングスキルをさらに体系的に学びたい方は「属人的な営業から脱却!トップ営業のヒアリングノウハウを『見える化』する実践術」をご覧ください。
相手の話を深掘りする「なぜ」の質問も効果的です。「なぜそれが課題なのですか」「それによってどんな影響が出ていますか」と段階的に掘り下げると、表面的な悩みの奥にある本質的な課題が見えてきます。
無理に聞き出そうとせず、自然に話したくなる雰囲気を作ることも忘れてはいけません。相づちを打ち、沈黙を恐れず、相手が考える時間を与える。そんな余裕のある姿勢が、本音を引き出すヒアリングにつながります。
相手の心に響く提案の組み立て方
ヒアリングで聞いた内容をもとに、どう提案すれば「これいいね」と思ってもらえるか。ここが営業の腕の見せどころです。
商品説明ではなく、相手の課題解決にフォーカスした伝え方が求められます。「この機能があります」ではなく、「御社の○○という課題に対し、この方法で解決できます」と結びつけてください。相手が抱える問題と自社のソリューションを明確につなげることで、提案が「自分ごと」として響きます。
相手の課題を明確に再確認
この方法で解決できます」と
明確につなげて提示
「労働時間を30%削減できた実績」など
数字で示す具体的な成功事例を紹介
「今日お伝えしたいのは、御社の課題を○○で解決できるということです」と
最初に示せば、その後の説明が頭に入りやすくなります。
メリットを実感しやすい具体例を出すことも、共感を呼ぶコツです。「導入後、作業時間が半分になった企業があります」「月間コストを30%削減できた事例があります」と数字で示しましょう。あるいは同じ業界の成功事例を紹介すれば、「うちでもできそう」というイメージが湧きやすくなります。
提案の冒頭で結論を先に伝えることも忘れずに。「今日お伝えしたいのは、御社の課題を○○で解決できるということです」と最初に示せば、その後の説明が頭に入りやすくなります。
クロージングで失敗しない進め方
「で、どうしますか?」と聞くのが怖い。営業担当者なら誰もが感じる瞬間です。クロージングに苦手意識がある方は「営業成績を上げるクロージングとは?8つの実践テクニックで商談停滞を打破する方法」で具体的なテクニックを学べます。
強引に決めさせようとすれば、せっかく築いた信頼関係が崩れてしまいます。大切なのは、相手が自然に「やってみよう」と思えるような後押しをすること。提案後に前向きな反応があれば、「では次のステップとして、いつ頃のご導入をお考えですか」と自然に確認しましょう。焦らず、相手のペースに合わせる姿勢が成約につながります。
もし相手が迷っている様子なら、決断を急がせないこと。「何か不安な点がありますか」と率直に聞き、懸念点を一つひとつ解消していきます。次のステップを一緒に確認しながら、安心して進める状態を作る。そんな丁寧な進め方が、信頼を守りながらクロージングを成功させるコツです。
ステップ | チェック項目 | 達成度 |
---|---|---|
1 信頼関係の構築 |
相手の話を最後まで聞き、理解を示している
共通点を見つけて、話題にしている
約束を守り、誠実な対応を心がけている
相手のペースに合わせた会話をしている
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0/4
項目
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2 ニーズの把握 |
オープンな質問で本音を引き出している
現状の課題や困りごとを具体的に聞いている
理想の状態や目標を確認している
優先順位や判断基準を理解している
|
0/4
項目
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3 価値の提案 |
相手のニーズに合った提案をしている
メリットを具体的な数字や事例で説明している
導入後の変化をイメージしやすく伝えている
|
0/3
項目
|
4 懸念点の解消 |
不安や疑問を積極的に聞き出している
リスクや注意点も正直に伝えている
類似事例や成功例を紹介している
サポート体制や保証について説明している
|
0/4
項目
|
5 クロージング |
相手の反応を見て適切なタイミングで提案している
次のステップを明確に提示している
決断を急がせず、相手のペースを尊重している
フォローアップの約束をしている
|
0/4
項目
|
クロージングは「詰める」ことではなく、相手が安心して決断できる環境を整えること。その視点を持てば、恐れる必要はなくなります。
各ステップでよくある失敗と対処法
営業の各段階で誰もが経験する「うまくいかない瞬間」は、実は成長のチャンスです。失敗は当たり前で、そこからどう立て直すかが営業力の差になります。営業スキル全般を体系的に身につけたい方は「『営業に必要なスキル10選』中小企業経営者のための組織的営業力強化ガイド」も併せてご覧ください。
アプローチ・ヒアリング・提案・クロージングの4つの場面で起こる典型的な壁と、その乗り越え方を紹介します。一人で抱え込まず、少しずつ改善していける方法を実践すれば、営業活動がもっと前向きになるはず。
アプローチしても返信がないとき
メールや電話に反応がないと不安になりますが、相手も忙しいだけかもしれません。諦める前に、いくつかの工夫を試してみましょう。特にメールアプローチについては「【2025年最新】営業メールで成約率2倍!?中小企業経営者が今すぐ実践できる戦略的アプローチ」で最新の戦略を紹介しています。
連絡のタイミングを変えてみてください。朝一番や夕方など、相手が比較的落ち着いている時間帯を狙うと繋がりやすくなります。電話なら曜日を変えるだけで効果があることも。メールの件名も見直しが必要です。「ご提案」ではなく「【〇〇業界向け】コスト削減の事例」のように、相手の関心に直結する言葉を使うと開封率が上がります。
連絡手段を変えるのも効果的です。メールで反応がなければ電話、電話がダメならLinkedInのメッセージなど、複数のチャネルを試してみてください。ただし、しつこくならない程度に間隔を空けることが大切です。3回アプローチして反応がなければ、一旦引いて数週間後に再トライする余裕を持ちましょう。
ヒアリングで会話が続かないとき
「何かお困りですか?」と聞いて「特にないです」と返されると、次の言葉に詰まってしまいますよね。これは質問の仕方を変えるタイミングです。
オープンな質問を使ってみましょう。「現在〇〇についてどのように対応されていますか?」「御社で〇〇を進める際、どんな流れで行っていますか?」といった具体的な質問なら、相手も答えやすくなります。相手の言葉を拾って掘り下げるのも有効です。「業務が属人化している」と言われたら、「具体的にどの業務で起きていますか?」「それによってどんな影響が出ていますか?」と深掘りします。
完璧な質問リストを用意するより、相手の反応を見ながら柔軟に対話する姿勢が大切です。沈黙を恐れず、質問した後は相手が考える時間を与えてください。焦って次の話題に移ると、本音を引き出すチャンスを逃してしまいます。
提案後に連絡が途絶えるとき
せっかく良い提案をしたのに音沙汰がなくなると不安になりますが、相手は社内で検討中かもしれません。適切なフォローで関係を保ちましょう。
フォローの仕方を工夫してください。「いかがでしょうか?」だけでは相手も返信しづらいものです。「先日ご提案した〇〇について、△△の部分で追加情報が必要でしたらご用意できます」のように、具体的な価値を添えると返信率が上がります。「〇月〇日までにご返信いただけますか」と期限を示すのも効果的です。
しつこくならない程度の距離感を保つことが大切です。1週間後、2週間後、1ヶ月後と間隔を空けながら、3回程度フォローするのが目安。その際、毎回同じ内容ではなく、「新しい事例が出ました」「期間限定の特典があります」など、角度を変えた情報を提供すると、相手も反応しやすくなります。
クロージングのタイミングを逃すとき
「今だ!」という瞬間を逃して後悔することはよくあります。完璧なタイミングを狙いすぎると、かえってチャンスを逃してしまうものです。
相手のサインを見極める練習をしましょう。「これならできそうですね」「社内で話してみます」といった前向きな言葉が出たら、それがクロージングのサイン。そこで「では、次のステップとして、いつ頃のご導入をお考えですか?」と自然に聞いてみてください。押し売りではなく、相手の意思確認をする姿勢が大切です。
もし相手が迷っている様子なら、無理に詰めるのは逆効果です。「何か気になる点はありますか?」と聞いて、不安や疑問を解消することに集中しましょう。クロージングは「詰める」ことではなく、相手が安心して決断できる状態を作ること。相手のペースを尊重しながら前に進む姿勢が、信頼関係を築き、成約へとつながります。
営業の流れを自分のものにする方法
5つのステップを知識として知るだけでは、営業成績は変わりません。学んだ営業の流れを実際の商談で使える形に落とし込む方法を紹介します。
小さな改善を積み重ねることで、徐々に自分なりのスタイルが作れるようになります。焦らず、一歩ずつ進めていきましょう。
今日から試せる小さな改善策
営業活動の改善に、大きな変化は必要ありません。明日からすぐ実践できる小さなアクションから始めれば、無理なく継続できます。
たとえば、ヒアリングで使う質問を一つ変えてみましょう。「何かお困りですか」ではなく「現在〇〇についてどのように対応されていますか」と具体的に聞くだけで、顧客の本音を引き出しやすくなります。
メールの件名を工夫するのも効果的です。「ご提案」という漠然とした件名より、「【〇〇業界向け】業務効率化の事例をご紹介」と相手の関心に直結する内容を示せば、開封率が変わります。提案後24時間以内に「先日はお時間をいただきありがとうございました」とお礼メッセージを送る習慣も、見落とされがちですが顧客の印象を大きく変えるアクション。
こうした小さな変化の積み重ねが、やがて大きな成果を生み出します。
自分の営業活動を振り返る習慣
成果を出し続ける営業担当者の共通点は、商談後に必ず振り返る習慣を持っていることです。数分でもいいので、立ち止まって考える時間を作りましょう。
振り返りでは、うまくいったことと改善が必要なことの両方をメモします。「顧客の反応が良かった質問」「説明が伝わりにくかった部分」「次回確認すべき情報」といった気づきを簡単に書き留めるだけで十分です。スマートフォンのメモアプリやノートに記録し、週末にまとめて見返すと、自分の成長パターンや課題が見えてきます。
続けていくうちに、「ヒアリングで止まっている案件が多い」「提案後のフォローが足りていない」といった弱点が明確になるでしょう。弱点がわかれば、そこに集中して改善できます。完璧を目指さず、気づきを積み重ねる姿勢こそが営業力向上の近道です。
継続的に成果を上げる考え方
営業は一発勝負ではなく、顧客との関係を育てていくプロセスです。すぐ結果が出なくても、丁寧な対応を続ければ信頼は積み上がります。
成約に至らなかった案件も、その後のフォローを続けることが大切です。「あの時はタイミングが合わなかったけど、また困ったことがあれば相談したい」と思ってもらえれば、半年後や1年後に再びチャンスが訪れます。焦って契約を迫るのではなく、相手のペースに寄り添いながら関係を深める姿勢が、長期的な成果につながるんです。
営業活動を「勘」ではなく「データ」で見る習慣も重要です。どのステップで案件が止まりやすいか、どんなアプローチが成約につながっているかを数値で把握すれば、改善すべきポイントが明確になります。最初はExcelで進捗を管理するだけでも構いません。
小さな改善を積み重ね、長い目で成果を作っていく。この考え方が、継続的に結果を出す営業担当者の共通点です。
まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。営業の流れを理解することで、今まで漠然としていた課題が明確になり、改善への第一歩を踏み出せることをお伝えしてきました。ここで改めて、本記事で特に重要なポイントを振り返ります。
- 営業活動は5つのステップ(リード獲得・アプローチ・ヒアリング・提案・クロージング)に分けられ、各段階で何をすべきかを理解すれば、今どこで躓いているかが見えてくる。
- 各ステップでよくある失敗には具体的な対処法があり、押し売りではなく相手に寄り添う姿勢が信頼関係を築き、成約につながる。
- 営業の流れを自分のものにするには、小さな改善を積み重ね、商談後の振り返りを習慣化することで、継続的に成果を上げられる営業担当者へと成長できる。
営業は「センス」ではなく、学習と改善で確実に上達できるスキルです。完璧を目指す必要はありません。明日からひとつでも実践し、少しずつ自分なりの営業スタイルを作っていきましょう。小さな変化の積み重ねが、やがて大きな成果を生み出します。この記事が、あなたの営業活動を前向きに変えるきっかけになれば幸いです。